多動症は親から子どもへ遺伝する!?確率はどのくらい?
多動症は人の話を遮って話し出したり、じっと座っていられないなどの症状が特徴的ですが、これは親から子どもへ遺伝するものなのでしょうか?
また、遺伝する確率はどのくらいなのか調べました。
多動症は親から子どもへ遺伝するのか
多動症の特性として、トラブルや問題行動を引き起こしてしまうことが多くあります。
親のしつけが足りない、愛情が足りない、育て方が悪いからだと他人に言われた経験のある親御さんも多いでしょう。
けれど、決して親のしつけ不足や愛情不足、育て方が原因ではないと考えられているのです!
多動症の原因ははっきりと医学的に解明されていないですが、先天的な脳の機能障害によるものだといわれています。
脳の機能障害は遺伝的要因が関連しているという研究結果もあります。
多動症は「家族性」があることや周りの「環境」にも原因があるとされています。
家族性とは家族に近視や糖尿病の人がいた場合、自分もそうなってしまう確率が高くなるというような意味です。
病気の遺伝子を受け継いだ子が親と同じ病気を発症する遺伝とはニュアンスが少し異なります。
多動症の人がいる家系といない家系を比べて、いる家系のほうが発現しやすい傾向があるということです。
家族間では遺伝による体質、成育環境が似ているのでこういった傾向がでるのではないかと考えられています。
けれど、多動症は体質や環境要因が複雑に影響して発現します。
親が多動症だからといって、必ず子どもに多動症が遺伝するというわけではありません。
多動症が遺伝する確率はどのくらいか
アメリカで行われたある調査では、両親のどちらかが多動症だと子どもに多動症が遺伝される確率は最大50%であると発表しています。
また、兄弟姉妹に多動症の子がいる場合、いない子に比べて5〜7倍の確率で遺伝するというデータもあります!
しかし、多動症の行動に対しては周りの人の対処の仕方で症状の出方が大きく変わりますよ。
その子にあった環境を整えてあげたり、接し方を工夫することが大切です。
多動性の家族性がある一卵性双生児であっても、両方に遺伝する確率は100%ではありません。
その理由は、成育環境などの影響によるものだと考えられています。
多動症は男女で発現率が違う!
男性と女性では、かかりやすい病気の違いや発症率にも差があるように多動症も男と女で発現率に違いがみられます。
男:女の多動症の比率は4:1とされています。
この比率の差は男女で脳の仕組みや働きが異なるからではないかと考えられています。
多動症であることが診断される年齢ですが、男の子は大体8歳前後、女の子は大体12歳頃です。
女の子のほうが多動症の症状が分かりづらいため、見逃されてしまうことも少なくないのです。
そのため、男の子より女の子のほうが診断される年齢が遅くなってしまいます。
出産前に多動症を検査する方法はあるのか
もし、自分が多動症で子どもを妊娠した場合、遺伝する確率が100%でないと分かっていても不安ですよね。
生まれる前に多動症の可能性があるのかどうか調べる方法はあるのでしょうか?
妊娠中に病気や障害を知るために超音波検査やNT超音波検査、絨毛検査、NIPT、羊水検査、母体血清マーカー、新出生前診断、胎児ドッグといったいろいろな検査・診断があります。
近年、出産前の検査・診断はめざましい発展をしていますが、出産前に多動症の可能性を知ることはできません。
そのための検査や診断は今のところ、まだないのです。
多動症は脳の働き、神経伝達物質の働きが原因でもあるといわれていますが身体に特徴的なものもないので、出産後も生理学的な検査のみでは多動症の診断はできないのです。
現在は、「DSM-5」というアメリカ精神医学会で定められている判断基準を用いて診断されます。
本人への問診、面談、行動評価、発達・知能・神経学的検査などから多動症かどうかが総合的に診断されているのです。